音響監督 えびな やすのり Q Aocustics 3030i レビュー
サウンドチーム・ドンファンに所属し日本を代表するアニメーションの音響監督として「NARUTO-ナルト-」のTVシリーズ及び劇場作品、興行収入15億円を突破した劇場アニメ「プロメア」、AT-Xほかで現在放送中のTVアニメ「宇崎ちゃんは遊びたい」等を手がけられている えびなやすのりさんに弊社取扱のQ Acoustics 3030iを試聴していただきました。
試聴機材
● Q Acoustics 3030i (グラファイト)+ 3030i 専用スタンド(ブラック)
Q Acousticsの3030iは今年発売されたQ Acoustics 3000iのシリーズ最新モデルです。
トールボーイタイプの3050iで採用されているウーファーユニットのボイスコイルを銅被覆アルミニウム巻線へ変更しキャビネットへ最適化しています。
ブックシェルフスピーカーとしては大型の部類に入るサイズですが容積を確保した分 低域の再生力が飛躍的に向上しています。
● 3030i 試聴
最初にEaglesのHotel Califolniaを聴きます。192kHz/ 24bit のハイレゾ音源です。
今日の音源はDELAに入れてあり、DELAとOPPOを使って再生しています。
コントロールはタブレットにインストールしたLUMINのアプリケーションで行います。
アンプは持参してもらったaudiolabのインテグレーテッドアンプ 8300A、そこからQEDのスピーカーケーブル Reference XT40iを使い3030iへ接続しています。
*spotifyの音源は圧縮音源です
3030iはペアで37,900円という価格という事ですが、一聴して信じられない音が出ているという印象です。
ステレオイメージが大きく広がるのが素晴らしい。音像がスピーカーの外側にまで広がっている。
目を閉じると広大なステレオイメージで鳴っていますが、目を開けると音像よりもスピーカーの距離が狭いので不思議な感覚になります。
バスレフは背面にありますがこの部屋だと低域が膨らんでしまうので付属のスポンジで調整した方が良いかなと思いました。
それは裏を返せばそれほど低域が出ているという事です。ブックシェルフとは思えない豊かな低域を聴かせてくれます。
3030iの背面 バスレフに付属のスポンジを入れることで低域を調整できます
次にStingのThe Lazarus Heart を聴きます。CD音源です。
この曲は僕のリファレンスの曲の1つで、冒頭の太鼓(タブラ)の音が気持ちよく出るかがスピーカーのクオリティを判断する一つの判断基準になっています。
*spotifyの音源は圧縮音源です
この曲は割と高域が強めなんです。それもあってか、いつも僕が使っているムジーク(musikelectronic geithain)で聴くとドラムが痛いくらいなんです。
個人的にこの痛さがこの曲の良いところだと思っているのですが、3030iも正しく同じ傾向で再生してくれますね。
それにしても高い音もちゃんと鳴っているのに低域が全く埋もれませんね。
しっかりとベースとキックが出ている。これはすごいですね。
低音に余裕を感じます。無理やり出してる感じが全くありません。
ボリュウムを絞るとバランスが崩れていまうスピーカーは割とあるので試しに音を小さくしてみましたが
3030iは比較的大人し目のボリュウムでもベースラインがしっかりと聴こえるし、キックもちゃんと出てますね。
次はPaul SimonのThe Boy In The Bubbleを聴きます。
名盤Gracelandの1曲目、この曲も冒頭のドラムの音が聴きどころです。
*spotifyの音源は圧縮音源です
今度はボリュウムを大きめに再生しましたが、これだけ出しても低域が破綻しないですね。やはり低域の再生力には目をみはる物があります。
低域の厚みと重みのコントロールが巧みに行われているのでしょう。
Willie NelsonとNorah JonesのBaby It's Cold Outsideを聴きます。
*spotifyの音源は圧縮音源です
非常に元気で明るい音です。ジャズを聴くには音が少しブライトかな。
ただ定位がしっかりとしていて良いですね。この曲はデュエットなのですが、2人のヴォーカリストの立ち位置が明瞭に把握できます。音像の再現力がすごく高いです。
それではPunch BrothersのAll Ashoreを聴きましょう。
彼らはカントリーやブルーグラスなどトラディショナルなアメリカのルーツ・ミュージックの要素を取り入れた現代の音楽、所謂アメリカーナという音楽のバンドです。
今から聴くのは2018年の作品で非常に攻めた録音なのですが、どう鳴るのか聴いてみましょう。
*spotifyの音源は圧縮音源です
ヴォーカルが非常に気持ち良いですね。中域、中低域の描写力が優れているのがよくわかります。
ヴォーカルに加えて楽器の細かい演奏の変化にしっかりと追従できる表現力を備えていますね。
最後にドヴォルザークの新世界よりをDSD 11.2MHzの音源で聴きます。これはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。
*spotifyの音源は圧縮音源です
小さな音から大きな音まで かなりダイナミックレンジの広い音源なのですが、破綻すること無く表現されています。DSDの音の滑らかさもよく表現されていますね。
● 試聴を終えて
低域がしっかりと出ていながら、中域、中低域の表現もすばらしいスピーカーだと感じました。
それに目の前に広がるステレオイメージの表現も秀逸なのでしっかりと音楽に没入することができます。
ペアで37,900円(税別)のスピーカーを我が家のムジークRL904やRL940と比べるのはあまりにも酷かと思いますが、このスピーカーからオーディオデビューをするとかなり楽しいオーディオライフを過ごせるのではないでしょうか。
別売り(21,000円/ペア・税別)ではありますが、専用スピーカースタンドがあり、このスタンドはスピーカーとネジで固定することができます。そうする事でスピーカーのガタつく心配をなくし、安定もよくなりますので音にも有利となるのでスタンドの使用をオススメします。スタンドとセットでも7万円を超えない。これはお買い得です。
専用スタンドにマウントした 3030i (ブラック、ホワイト)
Q ACOUSTICS 3030i ブックシェルフスピーカー
●弊社ECサイト・ESF STORE 楽天市場店にて販売中。
えびなやすのり プロフィール
- 音響監督。音響制作会社サウンドチーム・ドンファンの中核メンバーとして数多くの人気作品を手がける。今まで手がけた主な作品にNARUTO-ナルト-(TV, 劇場アニメ/2002~2006), NARUTO-ナルト-疾風伝(TV, 劇場アニメ/2007~2014), ヨルムンガンド(TV/2012), プロメア(劇場アニメ/2019),宇崎ちゃんは遊びたい(TV/2020)などがある。