8300CDとアクティブ・スピーカーの相性
audiolab8300CDとmusikelectronic geithain (ムジーク)のRL906を直結したレポートになります。
音源はTIDAL(*1)のストリーミングサービスを使用し、PC内のAudirvanaを経由して8300CDと接続しました。
8300CDはD/Aコンバーター(*2)として機能させアクティブスピーカーRL906に直結しました。
また比較のため8300CDを純粋なCDプレーヤーとしても試聴しました。
データストリーミング再生時の接続図、CD再生時は8300CD+RL906のみとなる
筆者は前々からこのCDプレーヤーとアクティブスピーカーの直結は1つの理想的な形だと思っていました。
なぜなら音声情報を最短距離で伝送できるのからです。
今回は、その検証を兼ねてプロダクトレポートを行います。
ちなみに直結が可能なのは、8300CDにデジタルアッテネーターが内蔵されているからです。
決してアッテネーターが付いていない普通のCDプレーヤーをアクティブスピーカーに直結しないでください。
機器を破損させる原因となります。
8300CDにアナログバランスアウトが付いているのもムジークのアクティブスピーカーと組み合わせやすい要因です。
とても大事なポイントですが、接続には良質なXLRバランスケーブルを使用してください。
今回は色付けの少ないQEDのReference XLR40を選びました。
特にムジークは坂本龍一さん曰く「スピーカーの存在がなくなる」程のスピーカーなので、
ケーブルも存在がなくなるタイプのものが必要なのです。
QED Reference XLR40 XLR バランスケーブル
試聴するために機材を設置してみると、システムの横幅は820mmしかありませんでした。
すごくコンパクトなシステムです。
PCと8300CDの間はUSBケーブル、8300CDとRL906の間は、XLRバランスケーブル(Reference XLR40)で接続しました。
音源はストリーミングサービス(TIDAL)をPC内のAudirvanaを使用してコントロールしています。
A Love Supreme pt.1 Acknowledgement / John Coltrane (PCM 24bit/96kHz)
まずはジョン・コルトレーンのアルバムA Love Supremeから24bit/96KHzマスタークォリティーの「Pt.1 Acknowledgement」を試聴しました。
結果 改めてRL906の凄さを体感しました。当然24bit/96kHzも影響しているのでしょうが、過去聴いたことがないほどの情報量で黄金のカルテット渾身の音が押し寄せて来ます。
特にエルビン・ジョーンズのドラムとジミー・ギャリソンのベースが、過去経験した中で最大の情報量で聴こえました。間違いなくコンバーター(8300CD)とRL906を直結した成果だと思います。
Wave / Antônio Carlos Jobim (PCM 24bit / 96kHz)
次にアントニオ・カルロス・ジョビンのアルバムWaveから24bit/96kHzマスタークォリティーで「Wave」を試聴しました。コルトレーンの時と同じで、何度も何度も聴いたこの曲が、未体験の情報量で聴こえてきました。レンジ感、奥行き感、低域の力感、どれも素晴らしく、震えが来るほど感動しました。
Agueybana Zemi / Jerry González (PCM 16bit / 44.1kHz )
次にジェリー・ゴンザレスのYa Yo Me Cureから「Agueybana Zemi」を16bit/44.1kHzで試聴しました。
これもまた情報量の多さに驚きました。ジェリー・ゴンザレスのコンガとアンディ・ゴンザレスのベースが、
とてつもない情報量で聴こえます。
普段はCDプレーヤーやアナログプレーヤーをプリメインアンプに繋いでパッシブスピーカーで聴いているのですが、比べ物にならない情報量です。CDと同じ16bit/44.1kHzデータを聴いているはずなのに、とても同じものには思えません。
そこでCDで同曲を聴いてみることにしました。
Agueybana Zemi / Jerry González (CD)
CDディスクを8300CDに入れ「Agueybana Zemi」を試聴します。するとストリーミング再生以上にワイドレンジで聴こえて来ました。レンジ感、奥行き感、低域の力感もCDが上回っている感じです。
てっきりTIDALとAudirvanaが素晴らしいのかと思っていたのですが、正直驚きました。
Wave / Antônio Carlos Jobim (CD)
さらに検証するために「Wave」をCDで試聴してみました。
この曲は24bit/96kHzのストリーミングの方が、情報量が多く聴こえました。
特に奥行き感はデータストリーミングに分がある感じです。
レンジも若干ですがストリーミングの方が広く聴こえました。
A Love Supreme pt.1 Acknowledgement / John Coltrane (CD)
ここまで来たら、と思い「Pt.1 Acknowledgement」のCDも試聴してみました。
この曲も24bit/96kHzのストリーミングの方が、情報量が多く聴こえました。
特に奥行き感に差があり、ストリーミングの方が、奥行きがあるように聴こえます。
但し低域のパワー感はCDの方があるように聴こえました。
「Ya Yo Me Cure」で16bit/44.1kHzのストリーミングと同じビットレート、サンプリング周波数のCDを比較した時にCDの方がワイドレンジに聴こえたのは、
8300CDに内蔵しているデジタルフィルターがCDに入っている情報を最大限に引き出し
出音の情報量を一層際立たせた結果かもしれません。
「Wave」、「Pt.1 Acknowledgement」の試聴結果では、
やはりハイレゾリューションの方が高精細な再生ができることを証明しているようです。
但し「Pt.1 Acknowledgement」でCDの方がパワー感を感じたのは8300CDのデジタルフィルターが作用したのでしょう。
試聴を終えて
最後に8300CDとRL906の直結は、CDプレーヤー+プリメインアンプ+パッシブスピーカーの組み合わせよりもはるかに鮮明な音を再生していました。
今回は試しませんでしたが楽器のソロ演奏でも確実に音色の違いが出るでしょう。
本当に音源を忠実に聴きたいなら、正確な再生機を選び、それを正確に拡声すれば良い。そのことを改めて実感しました。
もちろんそれはとても難しいことですが…… "Simple is the best" とても奥の深い言葉です。
(*1=2020年9月11日現在、日本国内でのサービスは未提供)
(*2=DACとしての8300CDの性能を評価した記事も御覧ください 記事はコチラから)
RL906は低域に 130mmコーン、高域に25mmドームを同軸配置しており小型ながら非常にナチュラルな再生と抜群の定位感を実現しています。
スタジオでの使用はもちろん、放送局内やブロードキャスト中継車内での使用も念頭に置かれ設計されており、モニタースピーカーの理想である「点音源」に極めて近い状態のリスニングを可能にしました。
コンパクトでありながら一音一音に含まれる音の情報量の濃密さと、音像まで映し出すその解像度の高さに ”究極のスタジオモニター” としてプロのエンジニアからも絶大な支持を受けています。